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コンブリオができるまで

ADHDってご存知?
私が「かきのき教育支援室コンブリオ」を始めようと考え始めたきっかけは、ある男の子との出会いでした。

前担任からの引き継ぎの中で、「このお子さんはね…。あっ、ADHDってご存知?」と紹介されたのがこの子でした。

正直、発達障害についての認識が乏しかった私は、実際に新学期が始まって彼から(彼を通して)たくさんのことを学び経験しました。
親御さんと一緒に、受診している病院にも行き、担当の先生から彼の状態を詳しく教えてもらいました。

教室における周囲の見え方、音の聞こえ方、
教科書やノート、プリントを見るとき・読むときの特徴、
友達や先生とのコミュニケーションにおける彼の特性、
座席の位置や周囲の環境調整などなど…。

今になると、必要ではないかと次々に思い浮かびそうな項目が、
このときは「えっ、そんなことが?」「えっ、そんなことも?」と驚くことばかりでした。

親御さんには、このような機会をつくっていただきながら、即効性のある取り組みにつながることが、きっと多くなかったはずです。
それでも、彼とは卒業までの3年間、一緒のクラスでした。
この間、彼自身も成長し、周囲との摩擦も少なくなり、クラスメイトも彼自身の変化や努力を暖かく見てくれました。

 


それしか考えられないのか?
この出会いの後も、たくさんの子供たちと出会い、このお子さんとの関わりで培った指導が役立ったり、新たな発見や試行錯誤が続きます。

さらに、特別支援教育が本格的にスタートすると、校内の制度や組織分担を担当することもありました。

発達障害ということばやカテゴリー、独特のペースをもつお子さんへのアプローチなどの理解啓発・実践の機会を校内にもとうと進めました。

 

そんな中でも校内に目を向けると、

クラスの中でみんなと同じスピードで活動ができないことを不注意ととられたり、
こだわりをわがままととらえられたり、
あなたのせいで、学級のみんなが迷惑していると言われたり…

そんなお子さんもたくさんいました。

しかし、発達障害とよばれる様々な診断の有無にかかわらず
どのクラスにも「学習内容の習得にちょっと時間がかかる子」がいて、
その理由に、学習にあたり「その特性を理解して指導にあたる」ことで、
学習理解が「飛躍的に向上する」ことがある。
と、わたし自身が理解していながらも、その実践に踏み込めずにいるわたしがいました。

この子たちと
「こんなやり方で考える方法があるんだね」
「ゆっくりでも、できるようになったよ」
「なんか、わかって(できて)きた」

という言葉を共有するためには、どんな方法があるのか考え始めました。

そんな中、
たくさんの選択肢の中に「自分で、実現できる教室をつくる」が浮かびます。
また、書字障害という診断があった子どもを育てた経験をもつ妻との出会いも大きなきっかけともなりました。



そして、コンブリオ開設へ…
私は、14年間の教員経験の後半において、このような経緯から当時、学校全体が特別な支援を必要としている子ども達への関わりを進める大きな動きがおこるにはまだ時間が必要と考え、退職を決めました。

こうして、これまでの様々な思いを「かきのき教育支援室 コンブリオ」という形にしました。
教員時代や特別支援教育支援員として通常学級にいる発達障害がある子ども達への個別指導の経験を通して、また、特別支援教育士という専門性をもって、お子さま達、その保護者さまの方へ支援することで、子ども達の学習や生活への不安から自信へというプラスの循環へ切り替えていけるようになるサポートを行っています。

私たちコンブリオスタッフは、発達障害が「眼鏡をかけている」「走るのが速い」「力持ち」と同じように個性のひとつなのだというスタンスに立ち、学習を通して基礎学力を身につけ、友達との関わり方の学びを通して社会性をもてるようにしています。

代表 吉田博司


 

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